こんにちは。新江古田こばやし歯科クリニックの歯科衛生士です。
「歯の治療に関する意外」といえば「痛い!と思っていた歯が実は別の歯だった」ということが珍しくありません。「自分の身体のことは自分が一番よくわかる」と言う方がいらっしゃいますが、実は人間の身体は勘違いを起こしやすいのです。
では、なぜそうした「勘違い」を起こしてしまうのでしょうか?
◆「歯の痛み」の通り道『三叉神経』
「歯の痛み」を脳に伝える役割は、顔の左右にある『三叉神経(さんさしんけい)』という「脳神経」が担っています。
脳から伸びた三叉神経は、おでこから頬、あごのあたりまで、大きく分けて3つのエリアに分かれて繋がっており、顔に「どんなものが触れた」か、それが「冷たい」か「温かい」か、といった「顔の感覚」を脳に伝える働きをしています。
そして、この三叉神経はお口の中にも繋がっているため、歯の痛みもこの神経を通じて脳に届きます。
◆間違えやすいワケ
とある実験では、歯に触れて「いま、どの歯に触れたか」という質問をしてみたところ、奥歯に近づくにつれて正解率が下がったという結果があります。
これは、お口などに繋がっている三叉神経が、脳に近づくにつれて一本の神経になるためです。
「痛み」をはじめ「歯に生じた感覚」は信号となり、三叉神経を通して脳まで伝わります。
しかし、その『信号』が『脳に続く一本道』に到達した際、「お口の辺り」から来たのはわかるけど、細かい場所までは覚えていない状態になってしまうことがあります。
これが、『痛みの勘違いの正体』です。
「歯の痛みの勘違い」で特に多いのが「痛いと思っていた隣の歯が原因だった」というケースです。
また、隣り合った歯だけでなく「上の歯が痛いと思ったら下の歯が原因だった」場合や、さらには「歯だと思ったら、鼻の炎症が原因だった」「目の周りの神経が原因だった」など、一見するとお口から遠い場所でも痛みの勘違いが発生することがあります。
このように「痛みの原因の特定」は皆さんご自身では非常に困難なことがありますので、何か痛みを感じたら早めに受診してください。
また、痛みの勘違いにより「痛くないところを削られた!」と思い込んでしまう方がまれにいらっしゃいますが、そのようなことはまずあり得ません。ご不安な場合は、遠慮せずご質問いただければ必ずお答えさせていただきますので、いつでもお声がけください。
そして、日頃から検診などを受けて、削らなくても済むように歯を大切にしてくださいね!
【紹介】
千葉県出身 3児の父
【学会・スタディーグループ】
国際インプラント学会 認定医
日本口腔インプラント学会専修医
日本咬合学会 認定医
日本歯科先端技術研究所認定医
日本歯周病学会
など